嘘日記#4 忘備録

 理解して欲しいと願えば願うほど、己の人間性や社会性が悉く欠如していることに気が付く。 それでも私は私のことを愛していて、聖母のように私の全てを包み込んでくれる人間、すなわち、私以上に私のことを受容してくれる人間を探している。地球をひっくり返しても、そんな人間は出てこないだろうし、高度な文明を持った地球外生命体でも、私のことは理解できないであろう。ははは。言えば言うほど、厨二病みたいで、他人と違う俺カッケーになる。だが、断じて違うのだ。私は誰よりも「普通」に憧れている。 「普通」 なんてないよ、という意見は野暮なので却下する。そうなるともう、解決策は一つで。遊戯王でいう「もう一人の僕」や、VIVANTの「F」、ファイトクラブの「タイラーダーデン」でいみたいな存在、イマジナリーフレンドを召喚するしかない。 輪をかけて厨二病だが、私は至って真剣にそう考えている。 生涯、牢屋のような六畳一間の部屋で、ブツブツと訳の分からないことを言うしか私は救われないのだ。ああ、変な人生だ、まさに喜劇そのものである。

 テレグラムのような恋だった。 呟く青年は曇天の向こうに想いを馳せる。 下地のように続く白雲だって、タッチペンで桃色に変えることだってできる、 青年は神様と対等な存在であり、時間を逆行することも、空中飛行だって可能だ。 それでも青年はその力を使おうとしない。 なぜか、それは一重に過熱したニヒリズムが原因である。 言わば、人生に対する絶望、諦観みたいなものだ。 一度、死に染まった人間は、生涯、死を中心に人生が回る。日常のありとあらゆる選択肢に、死が付き纏うのだ。地獄そのものである。 先程も述べたが、青年は神様であり、その地獄を天国に変えることも可能である。 でも、青年はその選択肢を取ることを拒否した。地獄にいることに慣れてしまい、居心地の良さすら感じ始めてしまったからだ。 幸福に走り出し、その道半ばで手に入れたモノを、いつか失ってしまうのなら、ハナから幸福に向かって走り出すことはせず、地獄の中で、ただひたすらに耐えることを選択したのだ。 諸君には到底理解できるまい。 青年は神様なのだから。 だが、一つヒントを差し上げよう。 地獄に咲く花は、天国で咲く花より美しいものだ。

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